コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは?取り組むべきか判断するためのヒント公開

2021/07/20コンテンツマーケティング

自分たちでWeb上の集客やプロモーションを行いたい!と考えた時、有力な候補として耳にするのがコンテンツマーケティングです。
いまやコンテンツマーケティングに関心のない企業はいないと言われるほど関心を集めている手法ですが、それがどのようなマーケティング手法なのか、正しく理解したうえで取り組んでいる人は実は多くないのではないでしょうか。

この記事では
「そもそもコンテンツマーケティングが何なのか、いまいち理解していない……」
「コンテンツマーケティングをやったほうが良いと言われる理由は何?」
「どういう手法なのかは分かってるつもりだけど、果たしてそれを自社でやるべきか分からない」
といった、コンテンツマーケティングにまつわるお悩みを基礎知識の整理と解説を通して解消しようと思います。

 

目次

コンテンツマーケティングとは収益を生むユーザーに「価値あるコンテンツ」を提供するアプローチ戦略

何よりもまずはこの定義を理解しましょう。
コンテンツマーケティングを正しく解釈するうえでポイントになるのは「ユーザー」「価値」「コンテンツ」の3つです。さらっと文章を読んで大枠の内容を理解することはできると思いますが、それぞれが具体的にどのような人・モノを指しているか、説明できますか?

要素を分解すると、以下のようになります。

「ユーザー」……主に見込み客のことを指します。自社の製品やサービスの利用者になる(=収益を生む)可能性のあるニーズを持つ人です。

「価値」……ここではユーザーの抱える悩みやニーズを満たせるか否か、が評価基準となります。

「コンテンツ」……「記事」を思い浮かべる方が多いですが、Web集客において下記のモノはコンテンツの一例になります。
・ブログ記事
・プレスリリース
・ホワイトペーパー
・バイラルコンテンツ(SNS上で拡散される投稿)
・口コミ、レビュー
・動画
・オンラインセミナー

「コンテンツマーケティング」において、ユーザーに発信する(される)ことを想定して制作したモノはすべてコンテンツに当てはまるという広義の意味で捉えると整理しやすいです。

つまり、自社の売上に貢献してくれる可能性の高い人が抱えるお悩み・ニーズを満たしてあげるような情報を最適な形で発信することで、相手の懐に入ることを可能にするアプローチ方法であると言い換えられるでしょう。

そして、継続的にユーザーに情報発信を行い、顕在顧客へ育成するコンテンツマーケティングは質の高いCVを自らの手で創出することを可能にする施策であると言えます。

 

「広告」に対するユーザーの嫌悪感を克服するためにコンテンツマーケティングが台頭した

なぜコンテンツマーケティングが主力なWebマーケティング手法の地位を確立するに至ったのでしょうか。

相手の懐に入る、というと相手に気に入られて関係を構築していくことを指しますが、まさに昨今のマーケティングの現場においてユーザーの好感度・信頼感の醸成が重視されるようになった背景があるのです。
企業が認知度向上や集客、売上向上を目的に施策を実行する際の基本的な手法として「広告」が採用されています。実際に日頃スマホやPCを使っていて広告を目にしない日はないですよね?

しかし、その接触機会の多さこそがWeb広告の弱点となりつつあります。
2018年にイーライフが発表したGDPRによる消費者意識の変化とデジタルマーケティングの展望」によると

・Web広告で印象が良かった、または役立った広告があったと回答した人は19.4%にとどまる
・一方、ネットに出てくる広告に対して不快になったことがあると回答した人は75.1%
・ユーザーの閲覧行動を妨げるような表示方法、誇大表現やコンプレックスを刺激するクリエイティブへの嫌悪感が理由
※不快なクリエイティブは美容系の広告に顕著
・不快な広告の商品・サービスを利用したくないと回答した人は75.5%

と、広告を出稿する企業の意図とは裏腹に、ユーザーに対してネガティブイメージを植え付けている恐れが高いことを示唆する調査結果が出ています。

これはインターネット上のユーザーの行動を邪魔する上に、企業の一方通行の発信形態となってしまう広告では効果的に関心を引くことが難しくなっていることを意味します。

これらの潮流を受け、企業の「見て!知って!興味持って!」が全面に押し出されたプッシュ型アプローチではなく、ユーザーが「これ知りたいな~」と望んだタイミングで接触できるよう、アンサーを用意しておくプル型アプローチへの転換を選択する企業が増えているのです。

 

【種類別】Web上のコンテンツマーケティングにおける情報発信の流れ

コンテンツマーケティングは広告とは異なり、

・企業とユーザー間で双方向のコミュニケーションを確立出来る
・ユーザーのナーチャリング(育成)が可能
・ブランディングに寄与出来る
・顧客ロイヤルティ(企業への愛着、信頼)を強固に出来る
・費用対効果が高い

などの強みを持ちます。しかし、「じゃあ、それって具体的にどうやって実現するの?」という疑問は駆け出しWebマーケターの頭を悩ませるに違いないでしょう。

ここからはコンテンツマーケティングでよく活用されるコンテンツの種類別に、ユーザーと接触するまでの情報発信の方法を紹介します。

テキストコンテンツ:見込み客獲得と育成に最適。検索流入を目指す記事コンテンツ更新はSEO対策と親和性が高い

Web集客初心者、もしくはマーケティング施策に割ける予算が限られている方であっても取り掛かりやすいことから多くの企業が活用しているものがテキストコンテンツになります。

一言でテキストコンテンツといっても、その種類は

・ブログ・コラムなどの記事コンテンツ
・ホワイトペーパー
・プレスリリース
・メールマガジン
・会報誌

などに渡ります。

目的に応じて最適な手段は異なってきますが、制作したコンテンツの寿命が長く(=継続的な集客を見込める)、費用対効果の面から最も資産として活用しやすいものは記事コンテンツになります。
予算と工数を確保する予定があり、これから腰を据えてWeb集客に取り組む意志のある企業であれば一番おすすめの手段ともいえます。

記事コンテンツの運用では

・SEO対策による検索結果画面上位表示
・SNS上での共有&拡散

によってユーザーとの接触を図ります。

SEO対策とは検索エンジン最適化を意味し、検索結果画面上位表示されるようにサイト内・外の要素を調整します。SEO対策を行う多くのケースでは、自社の商品やサービスで解決しうるニーズや悩みを持つユーザーが検索するキーワードでサイトの上位表示を目指すことで検索経由の集客を増やし、CVに繋げることが目的となっています。

検索結果上位表示を目指すための調整方法の一つに、ユーザーが検索するキーワードに対して合致性・有益性の高い記事コンテンツを整備する方法があります。これをコンテンツSEOと呼びます。これはサイト内の整備(=内部対策)にカテゴライズされます。

中には「コンテンツマーケティング=SEO対策でしょ?」と認識している方も多くいますが、その2つの概念は厳密に見ると別物です。

記事コンテンツを活用したコンテンツマーケティングを実施する際に、SEO対策の一翼である内部対策の要を担うコンテンツSEOを具体的な戦略に位置づけているという関係になります。

とはいえ、コンテンツマーケティングとSEOの関係性はこんがらがる方が非常に多い部分になります。

コンテンツマーケティング・SEO・コンテンツSEOの違いは何?」の記事で詳細に解説しているので、認識を整理したい方はぜひ合わせてご覧ください。

写真:ブランディングと相性◎Instagramを活用するケースが主流。Pinterestにも注目

写真を活用したコンテンツマーケティング最大の利点は投稿を通して世界観・ブランディングを描くことでユーザーを魅了することが出来ることです。

写真の特性を最も上手に活用できるプラットフォームとしてInstagramが挙げられます。最近ではネット上に投稿されている画像を保存し、自分だけのボードを作成できる「Pinterest」も利用者が増加しているため、活用を検討する企業も増加傾向にあります。

Instagramの場合、単に投稿を行うのではなく

・企業の世界観や、狙うターゲットと相性の良いインフルエンサーを起用したPR投稿
・フォロワー獲得や「人気投稿」表示を狙ったハッシュタグによるリーチ戦略
・ストーリー投稿やライブ配信を活用したユーザーとのコミュニケーション

などが施策の焦点となります。特にハッシュタグにまつわるアプローチ戦略はコンテンツSEOにおけるKW選定と根本的に同じ考え方を共有しているといえるでしょう。

Pinterestはユーザーが現在、もしくは未来において関心のあるモノのクリエイティブを収集し、ユーザー好みの世界観を周囲の人に提示するSNSになります。

・自社と相性の良いジャンルで投稿を収集する際に思わずユーザーがピンしたくなるクリエイティブの作成
・カタログのような形で自社サービス・商品をユーザーが閲覧できるようにクリップし整理
・ユーザー生成コンテンツを積極的に企業が収集し、ピンや投稿に活用する

など、拡散性を見越したコンテンツの整備および収集のフックを仕掛けることがポイントになります。

動画:YouTubeチャンネルや自社サイトで発信。育成・ブランディングなど目的に応じて4種類の動画を活用

文字や画像以上に多くの情報を発信できるコンテンツが動画になります。
具体的には視覚、聴覚、言語の3領域からアプローチできるため、テキストのみのコンテンツと比較して約5,000倍の情報を発信できると言われています。

ユーザーとの接触点としてはYouTubeチャンネルを開設して投稿、もしくは自社サイト上で運用するケースがあり、動画を閲覧したユーザーがSNS上で共有&拡散されることでさらなるリーチ拡大も期待できます。

コンテンツマーケティングに有効な動画は4種類に分類することができます。

・企業の世界観を効果的に演出しイメージアップを目指すブランディング動画
・認知向上および購買意欲を掻き立てCVに繋げるサービス紹介動画
・ナーチャリングおよび比較検討ユーザーのCVを後押しするHOWTO動画
・ナーチャリングはもちろん、ユーザーとの相互コミュニケーションでロイヤルティ醸成も可能なウェビナー

動画コンテンツを作成する場合はターゲットの設定はいうまでもありませんが、視聴時間や効果音など、動画ならではの要素を考慮したクリエイティブ設計がカギになります。

 

コンテンツマーケティングの取り組みが向いている企業・向いていない企業

ここまで代表的なコンテンツマーケティングの手法を紹介してきましたが、今読者が最も求めているのは「で、結局のところ自社のケースではコンテンツマーケティングに取り組んだほうが良いの?」を判断するための決定打ではないでしょうか。

コンテンツマーケティングの特性や目的を踏まえ、取り組むべきか否かを簡潔にまとめると以下のようになります。

コンテンツマーケが向いているケース:収益拡大における見込み客の獲得~育成の重要性を理解し、中長期的な施策に取り組む体力を確保できる企業

ユーザーが商品やサービスを認知してから実際に購入・使用した後までのフローをパターン化したものは「消費者行動モデル」と呼ばれます。

コンテンツマーケティングでは消費者行動モデルの一種であるDECAXの考え方を採用することが多く、特に「Discovery(発見)」と「Engage(関係構築)」は制作したコンテンツの力量が問われる領域となります。

この時、ユーザーの興味関心の喚起や信頼関係の構築は一朝一夕で実現できないため、社内でコンテンツマーケティング推進のための稼働工数を確保するか、外注で最適な業者に依頼することが継続的な施策実行の前提条件とも言えるでしょう。

むしろ、この前提条件をクリアできるのであればいずれの企業にとってもコンテンツマーケティングは間違いなく何らかの領域でプラスに作用します。

さらに、最終的にはCVに繋がるユーザーを安定的に集客できるようになるため、長期的に取り組むほど費用対効果は高くなります。

コンテンツマーケティングの恩恵を最大限享受するためにも、頓挫するリスクを抑えた実行体制や戦略立案は慎重に検討すべきでしょう。

コンテンツマーケが向いていないケース:長期的に工数を確保するのが難しい、もしくは数字で評価できる成果向上を短期間で求めている

以下のいずれかの項目に該当する企業はコンテンツマーケティング以外の手法を選んだ方がより満足のいく成果を得られる可能性が高いです。

・コンテンツマーケ専門部隊を社内で用意できない、もしくは外注が厳しい
・売上向上・認知拡大など、数字で評価できる成果を今すぐに求めている
・成果物の「質」よりも「量」を重視する傾向がある
・ユーザー視点の情報発信ではなく、企業視点の情報発信を優先したい

これらはいずれもコンテンツマーケティングの強みを十分に生かせない条件になります。

コンテンツマーケティングに取り組むメリットや弱みをより詳しく知りたい方は「コンテンツマーケティングで集客効果を得られる?メリットデメリットを解説」の記事で解説しているので、取り組むかどうか検討する際にご活用ください。

 

これからコンテンツマーケティングに取り組む場合はコンテンツSEOを主軸にしよう

コンテンツマーケティングに取り組む場合、活用するコンテンツは施策の目的に応じて選択することが基本となります。

しかし、


・まずは初期費用や実行ハードルが抑えられたものから着手したい
・部分的な展望しかまだ描けず、将来的にどこまでコンテンツマーケティングを展開するか未定
コンテンツマーケティング以外の施策との連携性も考慮したい

と考えている企業の場合は特に記事コンテンツの更新(コンテンツSEO)から着手することをおすすめします。

・社員を活用して記事を更新する場合、社内コストのみで実行可能
・自社所有のサイト上での更新になるため、情報発信のコントロールがしやすい
自社サイト上で蓄積したコンテンツは他の施策との連携や拡大展開で再活用可能

この3点が非常に強力なメリットとなります。

 

分析・効果測定まで実行してはじめて「コンテンツマーケティング」が成立する

最後に、コンテンツマーケティングを含む全てのWebマーケティングに取り組む際に、意外と軽視されがちなポイントを紹介します。

これまで解説してきたコンテンツマーケティングの強みや期待できる効果はすべて「分析・効果測定を根拠に運用を行った場合」の話になります。
つまり、いくら長期的に運用をしたとしても、更新するコンテンツの内容や施策の方針を「なんとなく」で決めてしまうと一向に成果は得られないということです。

Webマーケティングの施策は「ユーザーの何らかの反応を数値で即時確認出来ること」が従来の広告施策と大きく異なり、それこそが最大の利点とも言われています。
ユーザーから企業に対するフィードバックと呼んでも過言ではないデータは、施策の成果を評価したり、改善点を発見するのに役立つのです。

しかし、施策を実行することに気を取られ、肝心のデータ分析まで手が回らず「やったらやりっぱなし」で放置してしまったり、データを生かしきれずに施策の成果を最大化できないケースは非常に多く散見されます。
そのため、コンテンツマーケティングに取り組むことが決まったら分析・効果測定を実行する体制や取得したいデータ、データ活用の方針も合わせて社内で検討と合意形成まで行うことをおすすめします。

Web集客に初めて取り組む場合に知っておくべき基礎的な分析のやり方や、見るべき項目・数値はサイトのアクセス分析、何ができる?初心者のための基本ポイントを解説」で解説しています。特に分析業務初心者であれば必読の内容です。

 

まとめ:自社にとって理想的なユーザーをじっくり育成しよう

コンテンツマーケティングは企業の都合に合わせた「宣伝一色」のアプローチではなく、ユーザーに寄り添う「頼れるパートナー・専門家」としての立ち位置を確立するアプローチ方法になります。
したがって、繰り返しになりますが「本当にこのコンテンツはユーザーにとって価値のあるものなのか」という自問自答の姿勢を徹底することが何よりも大事になります。

ときには自社商品・サービスについて一切言及しないコンテンツの制作に舵切れるように、コンテンツマーケティングに対する社内メンバーの共通認識をしっかりと形成することが成功への第一歩となるでしょう。